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「近代社会の自己認識」として開始された社会学は、パーソンズによる理論的統合において一定の完成度に到達したかに思われたが、多方面からの批判を受けて、大きく認識が変わってしまった。それは、一言で言えば、近代化論において自明とされていた近代的価値(合理主義、個人主義、自由主義等)に対する懐疑がもはや無視できない形で突きつけられている事態だと言える。そうした多くの「異議申し立て」を解説し、現代社会学が直面している諸問題について論ずる。 カリキュラムポリシーの「4.高度情報社会の特質を専門的・多角的に読み解く力や問題解決能力を養成する教育」に対応する科目。
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(1)パーソンズ以後の現代社会学が取り組んでいる問題を理解し、基本的な理論や概念についての知識を得ること。 (2)上記のことを通じて、現代社会で起こるさまざまな現象を批判的に見る態度を身につけること。
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ディプロマポリシーのうち、次の項目に対応した科目。
2.情報社会に生起する組織や地域社会の諸課題に関心を持ち、その解決に意欲を持つこと 3.科学的・批判的に思考・判断する能力を有し、自ら得た知見を分かりやすく説明・伝達する能力を備えていること
評価の観点は以下の通りである。
(1)社会情報過程の理解 〇 (2)組織と社会の諸課題への関心 ◎ (3)科学的な思考力と伝達能力 〇 (4)データの収集・分析能力 ― (5)外国語運用能力 ―
(◎:特に重視する,〇:重視する,△:評価対象,―:評価対象としない)
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近代化の限界/歴史社会学による近代化論批判/世界システム論/想像の共同体としての国民国家/文化的再生産論の展開/構造と過程の統一的把握/近代的自己の生成と規律化/啓蒙の弁証法としての近代批判/未完のプロジェクトとしての近代/社会システムによる複雑性の縮減/社会学にとってのフェミニズムの意義/構築主義アプローチの可能性
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講義形式(オンライン)で展開する。moodleでの質問・コメントを参照し、できるだけ受講生との対話の要素を取り入れて進めたい。
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第1回 イントロダクション:社会学理論と近代化論 前期の講義をまとめて、社会学にとって近代化論がもっていた意味について述べ、後期への導入とする。
第2回 近代化論批判:家族社会学の場合 歴史社会学からの近代化論批判について解説する。特にデータの蓄積が進んでいる家族社会学の事例を採り上げ、単一の「近代化」はもはや論じえないことを述べる。
第3回 世界システム論の展開 I・ウォーラーステインの世界システム論を取り上げて、国民国家別に考えられていた近代化論に対するアンチテーゼを示す。
第4回 想像の共同体 近代化論の中で自明視されていた「国民国家」の概念を考察する。B・アンダーソンによる国民国家批判や、小熊英二による日本社会の自己認識を取り上げる。
第5回 文化的再生産論の展開(1) B・バーンスティンやS・ボウルズ、H・ギンタス、P・ウィルスによる学校教育を通じた再生産論を採り上げ、「メリトクラシー」という近代社会の移動規範の信憑性について考察する。
第6回 文化的再生産論の展開(2) 引き続き文化的再生産論を取り上げ、P・ブルデューの文化的再生産論が文化研究について及ぼした影響に触れる。
第7回 構造と行為の弁証法 A・ギデンズによる構造=機能主義批判として登場した構造化理論について解説し、近代の意味や近代社会がもたらした社会変動について考察する。
第8回 近代的自我/自己の形成 『監視と処罰』におけるM・フーコーの権力論を参照しながら、近代的身体と自我の特徴について考察する。
第9回 啓蒙の弁証法 近代社会をもたらした啓蒙的理性そのものに対する批判として、T・アドルノ、M・ホルクハイマーらによる近代批判を解説し、批判理論について講義する。
第10回 未完のプロジェクトとしての近代 フランクフルト学派第二世代であるJ・ハーバマスの近代擁護を採り上げて、コミュニケーション的理性、コミュニケーション的行為の理論について簡単に述べる。
第11回 フェミニズムの衝撃 フェミニズムの衝撃は、理論的にも大きな影響を多方面に及ぼしている。主に社会学理論の面で、フェミニズムがひき起こした影響について解説する。
第12回 構築主義アプローチの可能性 社会問題研究として始まった構築主義が、社会学を含んだ学問一般に根本的な反省を迫る論点を含んでいることを解説する。
第13回 社会システム理論の新たな展開 N・ルーマンによる社会システム理論のあらたな展開について解説し、彼の理論がもっている潜在的可能性について論じる。
第14回 リスク社会論の射程 U・ベックによるリスク社会と個人化の考え方を解説し、現代社会がますますリスク社会化する理由について考察する。
第15回 規格化と多様化 これまでの社会学理論の展開を振り返りつつ、「規格化」と「多様化」という、一見相反するように思われる現代社会の動向について、どのように理解したら整合的な見取り図が得られるか考察する。
第16回 レポート提出日 授業内容に関するレポートを提出してもらう。
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予習は特に必要ないが、授業中に参考文献を指示するので、それに基づいて発展的な学修をすることが望ましい。
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学期末レポートの成績によって評価する。
成績は、90点以上「S」、89~80点「A」、79点~70点「B」、69点~60点「C」、59点以下は「D」。
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講義内容は展開によって若干変更する可能性がある。分かりやすい説明を心がけるが、学生諸君の方でも積極的に質問や要望を寄せて欲しい。積極的な参加を求める。
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現代社会、世界システム、想像の共同体、文化的再生産、構造化理論
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理論社会学Ⅰ、社会学的コミュニケーション基礎論、社会学的コミュニケーション論
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