タイトル
     2019 年度 前期  社会情報学部 日英区分 :日本語 
  
理論社会学Ⅰ   
時間割コード ナンバリング 科目分野
SB6006 1021SB2FC61006  
担当教員(ローマ字表記)
  伊藤 賢一 [Itoh Kenichi]
対象学生 対象年次 単位数
  2年次 ~ 2
授業の目的  
19世紀にヨーロッパで生まれた社会学は「近代社会の自己認識」として捉えられる。社会学理論の展開にとって、近代性(modernity)をいかなるものとして理解するかという問題は中心的な焦点の一つであった。この講義では近代性の問題を軸に、社会学理論の基本となる概念や枠組みについて学び、私たちがさまざまな社会現象を捉える際の道具として役立つものを構築したい。
カリキュラムポリシーの「4.高度情報社会の特質を専門的・多角的に読み解く力や問題解決能力を養成する教育」に対応した科目。

 
授業の到達目標  
(1)パーソンズまでの近代社会学が取り組んでいる問題を理解し、基本的な理論や概念についての知識を得ること。
(2)上記のことを通じて、現代社会で起こるさまざまな現象を批判的に見る態度を身につけること。
 
ディプロマポリシーとの関連(評価の観点)  
2.情報社会に生起する組織や地域社会の諸課題に関心を持ち、その解決に意欲を持つ者、および、3.科学的・批判的に思考・判断する能力を有する者、に対応した科目
 
授業概要  
近代社会の自己認識としての社会学/ゲマインシャフトとゲゼルシャフト/社会的行為論と理解社会学の方法/官僚制組織/集合意識と儀礼論/マルクス主義と階級社会論/機能主義的社会システム論の展開と問題点

 
授業の形式(授業方法)  
講義形式で行う。

 
授業スケジュール  
第1回 イントロダクション:理論社会学とは何か
社会科学における社会学を位置づけ、この授業のアウトラインを示す。

第2回 社会学の誕生
19世紀に社会学が誕生した意味について考察し、コント、スペンサーらの理論を紹介しながら近代・近代社会の意味、という問いを設定する。

第3回 ゲマインシャフトとゲゼルシャフト
テンニースの「ゲマインシャフト/ゲゼルシャフト」という概念を採り上げ、近代社会の類型的理解とそれに伴う問題点について解説する。

第4回 社会的事実を物のように扱う
デュルケムが確立しようとした社会学の方法・立場について解説し、彼が『自殺論』で行った社会学的説明について考察する。

第5回 集合意識と儀礼論
デュルケムによる近代社会の特徴、集合意識論・儀礼論について採り上げ、近代社会における分業体制や「人格」の概念について論ずる。

第6回 理解社会学とはどのような方法か
ヴェーバーによって提唱された社会的行為論、理念型という理論的概念について解説し、社会学的分析にとって行為論の持つ意味について述べる。

第7回 相互作用としての社会 ― ジンメルの形式社会学
「形式社会学」というジンメル社会学の方法論的主張についてとりあげ、彼が論じた貨幣経済の本質について議論する。

第8回 社会的行為論から現象学的社会学へ
シュッツによるヴェーバーの行為論批判を採り上げ、行為を論ずる際の方法論的な問題を考察する。また、現象学的社会学の展開について述べる。

第9回 マルクス階級論の射程
マルクスによる近代社会論を解説し、唯物論的な(生産・所有の面からみた)近代社会観と社会批判の成立根拠について解説する。

第10回 マルクス以後の階級/階層論
マルクス以降の階級/階層論について紹介し、階級/階層研究のリアリティについて考察する。

第11回 西欧マルクス主義の社会理論
グラムシやルカーチによって展開されたマルクス主義的なイデオロギー論について解説し、これらが今日の文化研究に対して与えている影響を論ずる。

第12回 シカゴ学派の展開
一般にシカゴ学派と呼ばれる、20世紀前半にアメリカで展開した経験的研究を重視するスタイルの社会学理論についてとりあげ、その学術的意義を考察する。

第13回 パーソンズ社会学の展開(1)
パーソンズによる行為の一般理論、機能主義的な社会システム理論について解説し、それ以前の社会学理論をいかにして統合しようとしたのか検討する。

第14回 パーソンズ社会学の展開(2)
パーソンズによる近代化理論を解説し、パターン変数や社会進化の概念で彼が描いた近代社会の特徴について理解する。

第15回 パーソンズ社会理論の問題点
マートンやミルズ、ガーフィンケル等によるパーソンズ批判を採り上げ、パーソンズ理論における近代理解の限界について考える。

第16回 試験
これまでの講義内容について試験を実施する。
 
授業時間外学修情報
「学修」とは授業と授業時間外の予習・復習などを含む概念です。1単位につき45時間の学修が必要です。
学則で定められている1単位の時間数は次のとおりです。
講義・演習    授業15~30時間、授業時間外30~15時間
実験・実習・実技
 
予習は特に必要ないが、授業中に参考文献を指示するので、それに基づいて発展的な学修をすることが望ましい。
 
成績評価基準(授業評価方法) 及び 関連するディプロマポリシー  
学期末試験によって評価する。試験のときに、授業中に配布したレジュメとノートは持ち込みを認める。

成績は、90点以上「S」、89〜80点「A」、79点〜70点「B」、69点〜60点「C」、59点以下は「D」。
 
受講条件(履修資格)  
2年生以上

 
メッセージ  
話が抽象的になることがあるので、分からないことがあったら積極的に質問して欲しい。

 
キーワード  
社会学、近代社会、ゲマインシャフト/ゲゼルシャフト、有機的連帯/機械的連帯、行為の一般理論
 
この授業の基礎となる科目  
特になし
 
次に履修が望まれる科目  
理論社会学Ⅱ
 
関連授業科目  
社会学的コミュニケーション基礎論、社会学的コミュニケーション論
 
教科書  
 
参考書  
参考書1 ISBN 978-4641120419
書名 クロニクル社会学 : 人と理論の魅力を語る
著者名 那須壽 編, 出版社 有斐閣 出版年 1997
備考
参考書2 ISBN 978-4641075955
書名 ランドル・コリンズが語る社会学の歴史
著者名 ランドル・コリンズ 著,友枝敏雄 [ほか]訳, 出版社 有斐閣 出版年 1997
備考
参考書3 ISBN 978-4006002848
書名 脱常識の社会学 : 社会の読み方入門
著者名 ランドル・コリンズ [著],井上俊, 磯部卓三 訳, 出版社 岩波書店 出版年 2013
備考
参考書4 ISBN 978-4480064196
書名 社会学の名著30
著者名 竹内洋 著, 出版社 筑摩書房 出版年 2008
備考
参考書5 ISBN 978-4623061242
書名 社会学の方法 : その歴史と構造
著者名 佐藤俊樹 著, 出版社 ミネルヴァ書房 出版年 2011
備考
 
教科書・参考書に関する補足情報  
関連文献はその都度指示する。
 
コース管理システム(Moodle)へのリンク  
https://g3.si.gunma-u.ac.jp/moodle/course/view.php?id=45
 
授業言語  
 
学生用連絡先  
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学生用メールアドレス  
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オフィスアワー (※教員が研究室に在室し、学生からの質問・相談等に応じる時間のことです。)  
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教員ホームページ  
http://www.si.gunma-u.ac.jp/~itoken/index.html
 
関連ホームページ  
 
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